読書日記⑤/『習近平研究』/鈴木隆
親しく付き合っている中国通の経産官僚から読むように勧められたのが、大東文化大の鈴木隆教授による本書『習近平研究』だった。私はこれまでの取材を通じて「霞が関の高級官僚は案外、本を読まないんだな」と思っていただけに、現場の一線で働く官僚から税抜き7000円する630ページ余の学術書を推薦されたのには驚いた。
大鹿 靖明
2026.09.02
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昨年1月に出版されるや朝日書評で絶賛され、毎日が主催するアジア太平洋賞を受賞。著者の鈴木隆教授は一躍、斯界の権威になった。経済安全保障やハイテク分野を取材するなかで、「中国を理解するために読まなければ……」と思いつつ、7000円という価格にたじろぎ、購入をためらってきた。今回の入院を機に「こういう機会でないと読めない」と病室に持ち込むと、意外にあっという間に読み終えた。

表紙デザインがちょっとダサい
先日読んだアンゲラ・メルケルの回顧録『自由』には、彼女が会談した際に習近平から「中国は2000年の歴史の中で1700年は世界一の先進国だった」と言われたとあった。彼女は「えっ、そうなの?」と半信半疑で、ドイツ外務省のスタッフに下問して初めてそれを事実として確認したという。中国の隣国の日本人である私たちにとって、習近平が自慢するとおり、中国は「魏志倭人伝」の太古から1840年のアヘン戦争あたりまでは地域大国であり続けてきたことは常識中の常識。だが遠い欧州ではそうした〝当たり前〟のことが、メルケルのような一時代を画した宰相ですら知られていないのだ。